研究手法の開発
光誘起時間分解計測
レーザーなどの光を利用して、光反応後の赤外吸収変化を時分割で計測する手法です。これにより、光受容部位となる色素の構造変化や、 それによって 誘起されるタンパク質の構造変化、その内部に存在する水分子の水素結合状態の変化を明らかにすることが可能となります[1]。さらに高度に配向した試料に 対し て、偏光を用いた計測を行うことで振動モードの角度を明らかにすることが可能になります。さきがけ「光エネルギーと物質変換」領域において、ロドプシンな ど様々な光エネルギー変換系にたいして本手法を適用し、水分子のO-H基の振る舞いを詳細に明らかにしようと取り組んでいます。タンパク質の機能発現の分 子機構を解明することで、自然がどのようにして光エネルギーを化学エネルギーへと変換しているのかがわかり、そのエッセンスを利用した新規光触媒の開発に 役立てられればと考えています。
時間分解計測により得られる |
サンプルをレーザー光で励起することで反応を開始させます。 |
参考文献
- Y. Furutani*, K. Fujiwara, T. Kimura, T. Kikukawa, M. Demura and H. Kandori, “Dynamics of Dangling Bonds of Water Molecules in pharaonis Halorhodopsin during Chloride Ion Transportation”, J. Phys. Chem. Lett. 3, 2964-9, 2012
- Y. Furutani*, T. Okitsu, L. Reissig, M. Mizuno, M. Homma, A. Wada, Y. Mizutani, and Y. Sudo*, “Large Spectral Change Due to Amide Modes of a β-Sheet upon the Formation of an Early Photointermediate of Middle Rhodopsin”, J. Phys. Chem. B, 117 (13), 3449-58, 2013 [DOI:10.1021/jp308765t]
- A. Inaguma, H. Tsukamoto, H. E. Kato, T. Kimura, T. Ishizuka, S. Oishi, H. Yawo, O. Nureki and Y. Furutani*, “Chimeras of channelrhodopsin-1 and -2 from Chlamydomonas reinhardtii exhibit distinctive light-induced structural changes from channelrhodopsin-2”, J. Biol. Chem.290, 11623-34, 2015 (DOI: 10.1074/jbc.M115.642256)